FXにおいて勝率を上げるためには、相場の動きを正確に予測し、適切なタイミングでエントリーや利益確定を行うことが不可欠です。
そこで1つの判断基準として使えるのが「グランビルの法則」です。
この法則は、相場のトレンド転換のタイミングやトレンドの継続期間を予測することができます。
この記事では、グランビルの法則について基本的な考え方、相場分析の手順、トレードのポイントなどを解説していきます。
グランビルの法則は、そのシンプルさと実績から多くのトレーダーに利用されています
目次
グランビルの法則とは
「グランビルの法則」は、米国の人気新聞記者で株式アナリストだったジョゼフ・E・グランビルが考案したものです。
この法則は、市場参加者の平均売買コストに近いと考えられる200日移動平均線と株価の日足チャートとの乖離の仕方と方向性を見ることで、株価の先行きを判断する方法として知られています。
グランビルの法則は買い4通り、売り4通りの8つの法則で成り立っています。
移動平均線を使った分析手法の先駆的な考えであり、現在でも多くのトレーダーに支持されており、株式市場だけでなくFX取引でも有効であるとされています。
上昇トレンド中の4つのポイント
買いパターン❶
ローソク足と移動平均線のクロスは、売り買いの勢力が逆転するタイミングであり、相場の流れが大きく変わる可能性が高いとされています。
このパターン❶で大切なのは、移動平均線の傾きです。
これまで下降を続けてきた移動平均線が、横ばいから上昇に向かいつつあるときに、ローソク足が移動平均線を下から上に抜けたとき買いのサインになります。
買いパターン❷
移動平均線より上にあるローソク足が移動平均線に接近したものの、移動平均線の手前で下げ止まり、再度上昇し始めたパターンです。
移動平均線がサポートの役割を果たしたことを確認してからエントリーする、押し目買いの手法です。
このパターンは、❶と比べると上昇する力が強いので移動平均線の近くまで下落する前に上昇してしまうことがあります。
売りパターン❸
ローソク足が上向きの移動平均線よりも大幅に上回って、移動平均線から大きく乖離したパターンです。
平均値から離れすぎた価格が今後、平均値付近へ戻っていくことを前提とした逆張りの方法です。
このパターンはトレンドに逆らうものであるため、エントリーには慎重になる必要があり、あまり有効ではありません。
買いパターン❹
上昇している移動平均線をローソク足が一時的に下回り、再上昇するパターンです。
移動平均線が上昇傾向にあることから、相場が上昇トレンドにあると判断し、押し目買いのチャンスと見なします。
ただし、移動平均線は相場の動きに遅れることが多いため、ダマシとなり相場が先に転換している可能性もあるので要注意です。
下降トレンド中の4つのポイント
売りパターン❶
これまで上昇を続けてきた移動平均線が、横ばいから下降に向かいつつあるときに、ローソク足が移動平均線を上から下に抜けたとき売りのサインになります。
ただし、このデッドクロスが発生した後、本当にトレンド転換したのかを確かめるためには、相場がレンジ相場から抜け出したのかを確認する必要があります。
売りパターン❷
移動平均線より下にあるローソク足が移動平均線に接近したものの、移動平均線の手前で上げ止まり、再度下降し始めたパターンです。
移動平均線がレジスタンスの役割を果たしたことを確認してからエントリーする、戻り売りの手法です。
このパターンは、❶と比べて下降する力が強く、長期MAの近くまで上昇する前に下降してしまうことが多い傾向にあります。
買いパターン❸
ローソク足が下向きの移動平均線よりも大幅に下回っており、移動平均線から大きく乖離したパターンです。
平均値から離れすぎた価格が今後、平均値付近へ戻っていくことを前提とした逆張りの方法です。
この方法はトレンドに逆らうため、エントリーには慎重になる必要があります。
売りパターン❹
下降している移動平均線をローソク足が一時的に上回り、再度下抜けるパターンです。
移動平均線が下降傾向にあることから、相場が下降トレンドにあると判断し、戻り売りのチャンスと見なします。
ただし、移動平均線は相場の動きに遅れることが多いため、ダマシとなり相場が先に転換している可能性もあるので注意が必要です。
グランビルの法則は、ダウ理論などと一致する場合のみ、エントリーの補助として使用します。
グランビルの法則のメリット
エントリーポイントの参考にできる
グランビルの法則を使えば、買い・売りのエントリーポイントが分かります。
理想はトレンドが変わるところでエントリーをして大きな利益を狙いたいですが、シグナルが常にハッキリと出るわけではありません。
エントリーポイントは「トレンドが変わるシグナル」、「押し目のシグナル」、「売り戻りするシグナル」の3つです。
トレンドが変わるシグナルを見極めるのが難しいため、残り2つのシグナルを狙うことが理想的です。
リスクを回避できる
FXでは、トレンドが急に反転することがあり、誤ったポジションを取ると大きな損失を被ってしまいます。
しかし、グランビルの法則を理解することで、トレンドが反転する前にその兆候をある程度察知することができるため、リスクを回避しながら取引することができます。
この法則を使いトレンドが転じる前の兆候を予測して、もしリスクの高いポジション保有している場合は取引を中断するか、ポジションを変更することで大きな損失を回避できます。
ダウ理論と組み合わせることで正確な予測ができる
グランビルの法則はダウ理論と合わせて利用することで、より確実なトレードが可能となります。
ダウ理論とはトレンドを読むための取引手法で、現在の取引状況から「上昇トレンド」と「下降トレンド」を見極めることができ、グランビルの法則を組み合わせることで、より高い精度でシグナルを得ることができます。
グランビルの法則のデメリット
長期的な投資には向いていない
グランビルの法則は、伝統的に200日移動平均線を用いた取引手法です。このため、数ヵ月先の値動きを予測しながらトレードを行います。
エントリーポイントの選択と、数ヵ月先のトレンド予想が重要であり、一度チャンスを逃すと長期にわたり機会損失が発生する可能性があります。
あくまで補助的なシグナル
グランビルの法則が利用する移動平均線は遅れて分かる指標ですから将来のトレンドを100%正確に把握できるものではありません。
あくまで補助的なツールとして他の根拠と併せて判断することをおすすめします。
ある程度の経験が必要
グランビルの法則を利用する際、偽のシグナルであるダマシに遭遇することがあります。
ダマシとは、移動平均線とローソク足がグランビルの法則に基づくシグナルと同じ動きを示しても、その後の値動きが予想通りにならない現象のことです。
このダマシを回避するにはある程度の経験が必要です。